優先劣後構造とは?
不動産クラファンにおいて、よく耳にする「優先劣後構造」
これは投資家と事業者の間で、利益の配分や損失の負担に関するルールを定めた仕組みのことです。
目次
優先出資者と劣後出資者
優先劣後構造には、「優先出資者」と「劣後出資者」という2つの立場があり、それぞれの立場によって、利益配分や損失負担の優先順位が異なります。
優先出資者とは・・・投資家
不動産クラファンにおいて、優先出資者とは投資家のこと。
優先出資者は、劣後出資者より先に利益と元本を受け取ることができます。
劣後出資者とは・・・運営会社
不動産クラファンにおいて、劣後出資者とはファンドの運営している会社のこと。
劣後出資者は、利益と元本を受け取るのは優先出資者の後になります。
つまり、優先劣後構造を採用しているファンドでは、運営会社もプロジェクトに必要な資金を一部出資していることになります。
運営会社がいくら劣後出資しているかは、必ず契約書に記載があるので、出資をする際は確認してみましょう。
なぜ劣後出資者が必要なの?
事業者が劣後出資者となり、リスクを負うことで、投資家はより安心して投資することができます。
投資家の利益と元本の安全性が高められるのはもちろん、プロジェクトが成功すればそのぶん運営会社も利益を得ることになるので、
運営会社が責任感を持ってプロジェクトを遂行している、という信頼感を持って出資ができます。
しくみをわかりやすく!
例えば、マンションを購入して賃貸収入を得ながら、1年後に売却するプロジェクトを考えます。
運営会社は、マンションの購入費用3,000万円のうち、70%(2,100万円)を利回り5%で投資家から募集します。
残りの30%(900万円)は、劣後出資として運営会社自身が出資します。
①1年間マンションを運用し、賃貸収入が150万得られたとき
まず優先出資者である投資家へ、105万円(2,100万円✖5%)の利益が配当されます。
そして劣後出資者(運営会社)へ、残った利益45万円が配当されます。
もし、マンションが一時的に空室になり、賃貸収入が130万円になってしまっても・・・
投資家へは優先的に105万円が配当され、運営会社の利益が25万円になります。
※優先出資者への配当金は、出資口数に応じて、全優先出資者で按分されます。
※配当は、別途源泉所得税が差し引かれます。
② マンションが2,500万円でしか売却できず、500万円の元本毀損となったとき
元本も優先出資者から先に償還されます。
まず、優先出資者へ2,100万円が償還され、その後、残った400万円が劣後出資者に償還されます。
つまり、マンションの価格が下がってしまっても、劣後出資額の900万円までの低下であれば、投資家の元本は守られます。
まとめ
本コラムでは、不動産クラウドファンディングにおける優先劣後構造について解説しました。
優先劣後構造とは、プロジェクトが元本割れしたり、想定よりも利益が少なくなってしまった際、運営会社の出資分から先に負担させる仕組みです。
投資は、「元本が絶対全額戻ってきますよ」といういわゆる元本保証が認められていません。
リスクを抑えたい方は、優先劣後構造を採用した案件に投資を行うのも一つの考え方です。
またファンドを選ぶ際には、劣後出資割合はどれくらいかに注意するようにしましょう。