下落が続くJ-REIT…不動産クラファンはその救世主となれるのか
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最近のJ-REIT市場は、価格下落が続いています。
この下落要因として、金利上昇リスクやオフィス需要の低迷などが挙げられています。
特に、金利の上昇がJ-REITの収益性に影響を与え、投資価格の下落を招いていることが注目されています。
近年、J-REIT(日本の不動産投資信託)市場が下落傾向にある中、不動産クラウドファンディングが新たな投資先として注目を集めています。この記事では、J-REITの下落要因と不動産クラウドファンディングの可能性について探ります。
目次
現在のJ-REIT市場の状況
TOPIXとの長期的な乖離傾向
2021年以降、TOPIXとJ-REITの値動きに顕著な乖離が見られます。
TOPIXが上昇トレンドを続ける一方で、東証REIT指数は下落傾向にあります。特に2023年以降、この乖離が一層顕著になっています。
主な転換点は2021年以降
【2008年の金融危機時】両指数ともに大きく下落
【2012~2013年】アベノミクス相場で両指数が同調して上昇
【2020年】コロナショックで急落後、V字回復を見せる
【2021年以降】TOPIXが史上最高値圏へ上昇する一方、REITは軟調な展開
最近の動向
TOPIXは3,500ポイント付近まで上昇し、過去最高値圏で推移している一方、東証REIT指数は1,700ポイント程度まで下落し、約2年前の水準を下回っています。
相関関係の変化
2020年までは比較的同調した動きを示していた両指数ですが、2021年以降は明確な「デカップリング(非連動化)」が起きています。
これは、金利環境の変化や不動産市場に対する見方の違いを反映していると考えられます。
REITの価格下落の要因
米国の長期金利再上昇
投資家の資金シフト
米国の長期金利が上昇すると、相対的に安全で高利回りの米国債券への投資が魅力的になります。
これにより、投資家がJ-REITから資金を引き上げ、米国債券へ資金をシフトする傾向が生まれます。
米国の長期金利が上昇すると、J-REITの相対的な魅力が低下し、価格が下落する圧力が生まれます。
日銀の金融緩和縮小(金利上昇)
金利が上昇すると、J-REITが借入れする際の金利負担が増加します。
これにより、分配金が減少する可能性があります。
特に、J-REITの多くが借入金を利用しているため、金利上昇は直接的なコスト増加となり、収益性が低下することで投資価値が下がり、価格に影響を与えます。
オフィス需要の低迷
オフィス需要が低迷すると、空室率が上昇し、賃料の下落につながる可能性があります。
これにより、J-REITが保有するオフィスビルからの賃料収入が減少します。
賃料収入はJ-REITの主要な収益源であるため、収益が減少すると分配金が減少し、投資価値が低下します。
結果として、投資家がJ-REITを売却し、価格が下落する要因となります。
特に、米国10年債利回りの上昇が4.2%を超える水準になったことが、J-REIT価格の下落に大きく影響しています。
また、日銀のマイナス金利撤廃による金利上昇局面も、J-REITの収益性悪化懸念につながっています。
一方で、不動産クラウドファンディングの市場は急速な成長を遂げています。
👇詳しく説明していきます。
不動産クラファン市場の成長
市場の成長グラフ
国土交通省の不動産証券化実態調査によると、不動産クラウドファンディングの市場規模は令和5年度末時点において、
資産総額の推計は約59.8兆円、グラフにすると上記のように成長しています。
市場の成長要因
少額から投資が可能
従来の不動産投資は高額な初期投資が必要でしたが、クラウドファンディングでは最小1万円程度から投資が可能です。
これにより、より多くの人々が不動産投資に参加することができます。
手軽さが魅力
スマートフォンやPCを利用して手軽に投資ができるため、地理的な制約が少なく、全国から投資家を集めることができます。
投資の多様化とリスク分散
不動産の種類や地域も多様化しており、投資家はポートフォリオを広範囲にわたって分散することが可能です。
これにより、リスク管理が容易になります。
規制緩和による追い風
2017年の「不動産特定共同事業法」の改正により、不動産クラウドファンディングの事業者の参入が増えました。
これが市場拡大の後押しとなっています。
J-REITと不動産クラファンの比較
どちらも少額から不動産投資を可能にするJ-REITと不動産クラファンですが、仕組みやリスク、リターンの面で大きな違いがあります。
J-REITのメリット・デメリット
✅メリット
分散投資によるリスク低減
J-REITは複数の不動産を保有しています。
オフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、ホテルなど、さまざまな種類の不動産に投資しており、一部のオフィスビルが空室で賃料収入が減少しても、別の商業施設からの賃料収入でカバーすることが可能です。
流動性が高いため、売買が容易
株式市場で取引されるため、売りたいときにすぐに売却注文を出すことができます。通常、数秒から数分で取引が成立します。
リスク管理のしやすさ
市場の流動性が高いため、投資家はマーケットの動向に応じて迅速に投資戦略を変更できます。
例えば、金利上昇や経済状況の変化を感じたら、すぐにJ-REITを売却して現金化し、リスクを管理することが可能です。
✅デメリット
市場全体の影響を受けやすい
市場の動きに影響を受けやすいため、投資家はこれらの要因を常に注視する必要があります。
この流動性と連動性の高さが、J-REITを魅力的な投資商品にする一方で、リスク管理が重要となります。
投資家自身で投資物件を選べない
J-REITは、投資家から集めた資金を基に、専門の運用会社が不動産を購入し、その不動産から得られる賃貸収入を投資家に分配する仕組みです。運用会社が投資物件の選定と管理をすべて行うため、投資家自身が特定の物件を選んで投資することはできません。
不動産クラファンのメリット・デメリット
✅メリット
少額から投資可能
不動産クラウドファンディングでは、1万円からの投資が可能(サービスによっては10万円~)であり、J-REITの一口数万円から数十万円の最低投資額と比べると、非常に手軽に投資できます。
投資物件を自分で選べる
投資家が自分で興味のある、または信頼できる特定の不動産プロジェクトや物件を直接選んで投資できるのが特徴です。
選んだ投資物件は運営会社が運用します。
市場の影響を受けにくい
特定の不動産プロジェクトに投資するため、株式市場やJ-REITのように市場全体の動きに直接影響されにくく、個別の物件の運用結果に依存します。
優先劣後方式により、元本割れリスクが軽減される
「優先劣後方式」とは、投資家と事業者の間で、利益の配分や損失の負担に関するルールを定めた仕組みのことです。
詳しくは以下のブログで紹介しています。👇
✅デメリット
運営会社の信頼性や運営能力によるリスク
運営会社の不動産選定、管理、売却の能力に依存します。また、運営会社の倒産リスクも存在します。
そのため、各不動産クラウドファンディングサービス業者は、優先劣後方式を取るなど、投資家保護に努めています。
自動で分散投資ができない
投資家は各プロジェクトを個別に選んで投資するため、自分の判断で手動で複数のプロジェクトに投資する必要があります。
しかし、不動産クラウドファンディングの中には複数の物件を対象にした商品もあるので、個別投資の手間をかけたくない方は、複数の不動産を一つの商品として販売している、iBondやSOLS(ソルス)などのサービスをおすすめします。
まとめ
J-REITと不動産クラウドファンディングはそれぞれ異なる投資スタイルとリスク・リターンのバランスを持っています。
投資目的やリスク許容度、流動性の必要性などに基づいて、どちらを選ぶかを決定するのが大切です。